『ベテルギウスの超新星爆発』

メガネさん

2012年02月14日 18:42


こんばんは、メガネです。


昨日のお見舞いで病院独特の空気に押し潰されたようです。
朝起きることができませんでした。

気分の落ち込みはないのですが、体が重い…。
調子が安定してきたと思ってましたが、やっぱりまだまだリハビリが必要ですね。


こんな状態じゃ外回りの仕事なんてできたもんではありません。
かといって、ここで焦ったって何もできないし、もうしばらく開き直ってできることだけやるようにします。
できるようになったということが、今までよりも進歩したってことですもんね。


さぁそれでは未消化の読了本、いきます。


『ベテルギウスの超新星爆発 加速膨張する宇宙の発見』

2011年11月30日 第1刷発行
2011年12月25日 第3刷発行

著者:野本陽代(のもとはるよ)
発行:株式会社幻冬舎

定価:¥780+税

2012年2月7日読了


地球から遥か彼方にある星たちを、人間はどのようにして発見し、研究してきたかを過去の偉人たちの偉業を踏まえて順を追って解説してくれています。

さらに親切なことに、難しい専門用語は違う章でも繰り返し丁寧な説明をしてれくているので、その言葉を探してページを戻ることが少ない本でした。

文系の僕にでもわかりやすいと思ったくらいですから。


オリオン座の中で明るく輝く赤い巨星、ベテルギウス。
星は歳をとるとその色を変えていくそうです。
最後には赤くなり、超新星爆発によってその一生を終えます。

その超新星爆発が近々(と、いっても生きてるうちに見られるかは不明)起こると言われています。
もしも、2012年に超新星爆発があった(正確にはその光が届いた)としたら地球からはどんな風に見えるのだろうか、ということも書かれています。

NHK教育『サイエンスZERO』でも取り上げられていましたが、世紀の天体ショーは目撃することができるのでしょうか?


気になるその内容は…本を読んでみて下さい。(笑)

それでは、以下はまえがきです。
「オリオン座の一等星ベテルギウスに爆発の兆候。2012年にも爆発か」。2011年1月、そんな衝撃的なニュースが流されました。
 地球から約640光年と比較的近い距離にあるベテルギウス。そのベテルギウスが爆発したら、満月と同じくらいの明るさになるといわれています。月とちがい星は点状にしか見えませんから、実際には途方もなく明るい星が突如空に出現し、数カ月間、昼間でも見えるほどギラギラと輝くことでしょう。ベテルギウスが爆発すれば、史上最大の宇宙ショーとなることはまちがいありません。そして、その爆発の影響が地球に及ぶ可能性も指摘されています。
 ベテルギウスは赤色超巨星に分類される赤く大きな星です。質量は太陽の約20倍、直径は太陽の約1000倍もあります。この星を太陽の位置に置いたとしたら、地球はおろか木星まで飲み込まれてしまいかねないほどの大きさです。これほど大きく、地球から近いため、ベテルギウスは点ではなく、球状に見える数少ない星の一つです。おかげで星の表面を撮影し、その状態を調べることができます。以前から星の表面がいささか不安定であることはわかっていましたが、近年の技術の進歩によって、その表面やまわりの様子がより詳しく観測できるようになりました。
 1995にハッブル宇宙望遠鏡で初めてベテルギウスの姿が撮影されてから16年たちました。赤外線による観測ではその大きさが一五年前と比べて15パーセントも小さくなったといいます。また、大量のガスが放出されている様子や、表面が波立ったようにでこぼこになっている様子も観測されています。これらはベテルギウスが近い将来、爆発を起こす兆候ではないか、と考えている天文学者もいます。それが2012年かどうか、今のところ定かではありませんが、ベテルギウスがいつ爆発するかわからない状況にあるのも確かなようです。

 私たちは長いあいだ、星はつねに変わらないものだと考えてきました。いつ見上げても、星たちは変わることなく同じ位置にあって、夜空を回転していると信じていたのです。しかし実際には、それまで何もなかった場所に急に明るい星が現われ、しばらく輝いたのち、また姿を消すという現象がときどき観測されていました。それらの星は新しく出現した星という意味で「新星」と名づけられました(中国や日本ではしばらく滞在したのちにいなくなることから「客星」と呼ばれました)。
 現在では特別に明るい「新星」は、晩年を迎えた星が自らを吹き飛ばす爆発現象であることがわかっています。そして、これらの星はほかのものと区別して「超新星」と呼ばれます。ベテルギウスはまさに晩年を迎えた星、いつ爆発を起こしても不思議のない星です。私たちの銀河のなかでは400年以上も観測されていない超新星が、これほど近くに出現したら、これまで謎だったことの多くが解明され、新たな知識が大量に得られることでしょう。
 超新星の出現はこれまで何度も、古い概念を打ち破るきっかけを天文学者に提供してきました。天動説から地動説へ。小さな宇宙から大きな宇宙へ。私たちの知っている物質からなる宇宙から、未知の物質とエネルギーに満ちた宇宙へ。穏やかに膨張する宇宙から暴走する宇宙へ。膨大な情報をもたらすと考えられるベテルギウスの爆発からどんな新しい宇宙観がもたらされるのか、期待が高まります。

 2011年10月4日、ノーベル物理学賞受賞者が発表されました。宇宙の膨張が加速していることを発見した業績に対して、アメリカ、ローレンス・バークレー研究所のサウル・パルムッター博士(52歳)、オーストラリア国立大学のブライアン・シュミット博士(44歳)、アメリカ、ジョンズ・ホプキンス大学のアダム・リース博士(41歳)の三人に贈られるということです。
 三人を彼らが宇宙膨張の研究を始める以前から知っている私にとって、彼らの受賞は非常にうれしいことです(知り合ったばかりのころ彼らはまだ20代、駆け出しのポスドグと学生で、若造、やんちゃ坊主というイメージしかなく、将来ノーベル賞をとることになるとは、とても思えませんでしたが)。パームルッターが1988年に、シュミットたちが94年にこの研究を始めてからは、会う機会があるたびに「今、どうなっている?」と研究の進捗状況を聞くのが習いでした(シュミットには8月に会って将来の計画について聞いたばかりでした)。二つのチームが熾烈な争いをしていること、それぞれが相手のチームに対して抱いている感情や、グループ内でのいざこざなど、ずっと目にしてきました。どちらのチームとも等距離でいたので、彼らの内輪話もふくめていろいろなことを話してくれましたし、私も公平な目で彼らの競争を見てきたと思っています。
 ノーベル賞の発表があったときには、実はこの本の原稿を書き終わっていました。この本は、もともと超新星について書こうとしたもので、最後の第六章はまさに彼らの研究成果を中心に書かれたものです。しかし、ノーベル賞を受賞したということで、内容を少しふくらませることにしました。彼らのあいだの競争がどのようなものであったのか、人間的な側面をつけ加えることにしたのです。科学者のあいだでどんな競争があったか、生々しい話はなかなか聞く機会もないと思うので、その一端をお話しすることにしました。「宇宙で一番強い力」がなんであるか、おわかりいただけると思います。

 この本は六章で構成されています。第一章はベテルギウスをめぐる最近の騒動について書きました。ベテルギウスが爆発するのかしないのか、うわさや最新の研究結果について述べています。第二章と第三章は、超新星とは何かを理解していただくために、星の一生について述べたものです。
 第六章は先にも述べたように、「宇宙の膨張が加速している」という宇宙論の最前線の話です。そこにいたるまでの宇宙論の歴史について述べたのが第四章と第五章です。もちろん順番に読んでいただいてよいのですが、ノーベル賞を受賞した研究がどのようなものであったか、先に知りたい方は第六章から読まれるとよいでしょう。
 この本を執筆中、資料や情報を提供するなど、いろいろな面で協力してくれた夫野本憲一に感謝します。

2011年11月 野本陽代


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