「助けてやろうか?」
真っ暗闇から差し伸べられた手。
深い声で「助けてやろうか?」の一言。
でも、その手は干からびていて、爪はするどく尖っていました。
ここ最近の中で最も寝覚めの悪いものでした。
特に今日は母が半年に1回の検査の日だったので、余計に心配だったんですよね。
なかなか帰って来ないですし…。
そんな中、だんだんと思い出したことがあるんです。
その手を、前にもどこかで見た覚えがあるんです…。
そう、それは1回目の転移の時。
肝臓の手術をした母に寄り添って病室に1泊した時に母の足元にいたのを見ているんです。
小さな女の子が悪さをしたって前に言ったことがありますが、それよりも前にその後姿を僕は見ています。
そして、mixiでつぶやきながらさらに思い出したのですが、おばあちゃんのときにも姿を見ているんです。
あれは、「死神」といっていいものなのか、自分ではわかりかねます。
結局、母は右の肺にあるガンは大きさも変わらず、悪さをしないだろうということで、今回も異状なしという結果でした。
ただ、僕の中には何とも言えない不安が残っています…。
「助けてやろうか…?」
母の病気が完全に消え去るならば、僕は自分の何かを犠牲にする代わりに死神の手を取るかもしれません。
ただの夢だと思って早く忘れてしまうべきか、それとも…?
関連記事